
窓の外が少しずつ暗くなって、夏の熱気がじんわりと引いていく夜の8時すぎ。エアコンの風がカーテンをそっと揺らし、部屋の中にほんのり残った昼間の温もりが、足の裏からじんわり伝わってくる。そんな時間に、わたしはヨガマットをリビングに広げる。特別なことは何もない、ただの夜の習慣だ。
きっかけは、去年の秋のこと。寝ようとしても頭がぐるぐると動き続けて、布団の中で2時間も過ごしてしまった夜があった。翌朝の顔は、自分でも笑えないほどくたびれていた。「これはまずい」と思ったのが、正直なところだ。
そこから始めたのが、寝る前のストレッチだった。
最初はぎこちなくて、腕を上に伸ばしながらそのままバランスを崩してヨガマットの端っこに転がりそうになったこともある。我ながら、なかなかの出だしだった。でも続けていくうちに、体が少しずつほぐれていくのがわかるようになってきた。
自律神経ストレッチは、お風呂上がりや寝る前に行うのが特に効果的で、体が温まって筋肉が柔らかくなっているので、副交感神経が働きやすいタイミングだという。
だから今は、38度くらいのぬるめのお湯にゆっくりつかってから、マットに向かうようにしている。体の芯がじんわりと温まった状態で始めると、筋肉がするりとほぐれていく感覚がまったく違う。
まず始めるのは深呼吸。4秒かけてゆっくり吸い込み、8秒かけて細く長く吐き出す。
お腹をへこませ背中をくっつけるイメージで行う、この呼吸法が自律神経を整えるとされている。
目を閉じると、吐く息に乗せて、今日あったあれこれが少しずつ遠のいていくような気がする。完全に消えるわけじゃないけれど、それでいい。
深呼吸が落ち着いてきたら、ストレッチへ。肩を大きく回し、首をゆっくり左右に倒し、背中を丸めて伸ばす。「ルナリア・ボディワークス」というブランドのマットは、少し厚みがあって膝をついても痛くないのがお気に入りだ。香りは無香料なのに、なぜか使うたびに落ち着く気がする——たぶん、習慣そのものが持つ香りみたいなものかもしれない。
自律神経をリラックスさせると共に、少し深部体温を上げることで、布団に入ったとき、一気に体温が下がりやすくなる。
この「体温の上げ下げ」が、スムーズな入眠に欠かせないのだと知ってから、ストレッチの意味がぐっと腑に落ちた。
ストレッチのあとは、ゆる筋トレを少しだけ。腹筋をきつくやるわけじゃない。仰向けになって膝を立て、ゆっくりお腹に力を入れて数秒キープ、それを繰り返すだけ。呼吸を止めないことだけを意識する。
吸う時に胸を開き、吐く時に力を抜くことで、自律神経のバランスが整いやすいとされている。
ゆる筋トレと深呼吸を組み合わせると、体がほんのり温かくなって、頭の中の雑音がすとんと静かになっていく。
自律神経が整うと睡眠の質が向上し、深く眠れるようになり、朝の目覚めもスッキリするという。
実際、この習慣を続けてから、夜中に目が覚める回数が減った。朝、目を開けたときの感覚がまるで違う。頭がクリアで、体が軽い。
たった10分ほどのことだ。でも、その10分が一日の終わりをていねいに締めくくってくれる。体を温め、呼吸を整え、筋肉をほぐす。それだけで、眠りの質はじんわりと変わっていく。明日の自分のために、今夜もマットを広げようと思う。






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