夜のノートが教えてくれた、心と体をほどく習慣

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最近、寝る前の30分が妙に楽しみになっている。きっかけは、友人が貸してくれた「ミンドフルネス・ノート」という小さな手帳だった。表紙は深い紺色で、触るとすこしざらりとした質感がある。

その日あったことを、ただ思いつくままに書いていく。「感じたことメモ」という欄には、電車で見かけた親子の笑顔や、昼休みに飲んだほうじ茶の香ばしさ、午後の会議でふと感じた肩の重さなど、本当にささいなことばかり。でも不思議と、書き出すと頭の中が少しずつ軽くなっていくのを感じる。次のページには「自分への問い合わせ」という欄があって、これがまた面白い。「今日、無理してなかった?」とか「明日の自分に何か伝えたいことある?」といった問いに、正直に答えていく。最初は少し気恥ずかしかったけれど、慣れてくると自分との対話が心地よくなってきた。

そして最後に「ゆる予定づくり」。これは翌日の予定を、あえてゆるく書き出すもの。「朝、白湯を飲む」「昼休みに5分だけ目を閉じる」「夜は湯船に浸かる」といった、ほんの小さな約束ごとを並べていく。ある晩、うっかり「朝、コーヒーを淹れる」と書いたのに翌朝寝坊して結局インスタントになってしまい、夜にノートを開いて苦笑いしたこともあった。でもそれでいい。完璧じゃなくていいのだと、自分に言い聞かせる。

このノート習慣を始めてから、明らかに眠りが深くなった気がする。以前は布団に入っても頭の中でぐるぐると考え事が巡り、気づけば深夜2時を回っていることも珍しくなかった。今は、ノートに書き出すことで思考が整理され、心が静かに落ち着いていく。体も自然とリラックスして、呼吸が深くゆっくりになる。

冬の夜、暖房を消した部屋でひざ掛けをかけながらノートを開くと、一日の終わりを丁寧に迎えている実感がある。温かい飲み物を片手に、柔らかな間接照明の下でペンを走らせる時間。それは誰にも邪魔されない、自分だけの静かな儀式のようなものだった。

自律神経という言葉をよく耳にするけれど、それがどう働いているのか正直よくわからなかった。でも、このノート習慣を続けるうちに、心が落ち着くと体も温まり、呼吸も深くなることに気づいた。ストレスを抱えたまま眠ろうとしても、体は緊張したままで休まらない。でも、一日の出来事を丁寧に振り返り、明日への小さな希望を書き留めると、心と体がふわりとほどけていく感覚がある。

良質な睡眠とは、ただ長く眠ることではないのかもしれない。心が穏やかで、体が温かく、呼吸が深い状態で眠りにつくこと。そのための準備を、丁寧にしてあげること。ノートを閉じて電気を消すとき、今日も一日を大切に過ごせたと思える。そんな小さな満足感が、明日への活力になっていく。

夜のノート時間は、自分を労わる時間でもある。忙しい毎日の中で、ほんの少しだけ立ち止まり、自分の心と体に耳を傾ける。それだけで、驚くほど心が軽くなり、体が温まり、眠りが深くなる。もしかしたら、それが一番のセルフケアなのかもしれない。

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