
梅雨の晴れ間が続いた六月のある夜、ふと気づいたことがある。ここ最近、朝起きても疲れが抜けていない。鏡を見ると、なんとなく顔がくすんでいて、目の下がほんのり重い。「そういえば、お風呂をシャワーだけで済ませてばかりだったな」と、脱衣所の電球の黄みがかった光の中で、静かにそう思った。
2026年に東京ガス都市生活研究所が発表した「現代人の入浴事情2026」によれば、コスパ・タイパ意識の高まりにより、シャワー入浴のみのスタイルが幅広い年代に定着してきているという。
忙しい毎日の中で、湯船に浸かる時間を後回しにしてしまうのは、きっと私だけではないはずだ。
でも、そんな夜こそ、ちゃんと湯船に入ってほしい。
お風呂に浸かると身体が温まり、お湯の温度や感じ方に応じて交感神経と副交感神経のスイッチが切り替わり、自律神経のバランスを整えてくれる。
現代の生活では、スマホの通知、仕事のマルチタスク、人間関係のあれこれ——脳はいつも「戦闘モード」のままだ。その緊張をほどいてくれるのが、たった15〜20分の入浴時間なのだと知ってから、私はバスルームへの向き合い方が少し変わった。
おすすめしたいのは、
40℃前後のぬるめのお湯に10〜15分ほど浸かること。副交感神経が優位になり、リラックスしながら快眠へと導いてくれる。
さらに、
就寝前の入浴で体温を少し上昇させることで、その後の体温下降がスムーズになり、良眠を促してくれる。
湯気がふわりと立ち上がる浴室の中で、鼻腔をくすぐるラベンダーの香り。肩まで沈めた瞬間、じんわりと広がるあの温かさ——それだけで、今日一日のこわばりが、ゆっくりとほどけていく気がする。
そんな夜の入浴時間に合わせて、私が最近取り入れているのが「ノーメイクデー」という習慣だ。週に一度か二度、帰宅したらすぐにクレンジングを済ませ、素肌のままで夜を過ごす。最初は少し照れくさかったけれど、肌が呼吸しているような感覚があって、不思議と気持ちが楽になる。ノーメイクデーの夜は、自分の顔をちゃんと見てあげる夜でもある。
お風呂上がりには、ぬくもりアイテムの出番だ。私が愛用しているのは、北欧雑貨ブランド「フィーカノルド」のリネン素材のバスローブ。羽織った瞬間のふわりとした軽さと、肌に触れるやさしい繊維の感触が、お気に入りすぎて毎晩手放せなくなった。ルームソックスや湯たんぽも加えれば、末端まで温かさが行き渡って、気づけばソファでうとうとしてしまう——ちなみに先日は、ホットミルクを飲みながらそのまま寝落ちして、翌朝カップを持ったまま目が覚めるという小さな事件があった。それはそれで、なんとも幸せな朝だったけれど。
身体を温めることは、ただ「冷えを防ぐ」ということではない。
自律神経が適切なタイミングで切り替わることで、日中は元気に活動でき、夜はスムーズに眠れ、翌朝もすっきり目覚められる——1日を通して快適に過ごすことができる。
それが積み重なれば、顔色も、気力も、少しずつ変わってくる。若々しくいたいなら、特別なことより、毎晩の入浴時間を丁寧に扱うことが、実は一番の近道かもしれない。
今夜、湯船にお湯を張ってみてほしい。ノーメイクの素顔で、お気に入りのぬくもりアイテムに包まれて、ゆっくり眠る——それだけで、明日の自分は少しだけ、やさしい顔をしているはずだから。






この記事へのコメントはありません。