
七月の夜、エアコンの効いた部屋でぼんやりとスマートフォンを眺めながら、「なんだか疲れているのに、なぜか眠れない」と感じたことはないだろうか。画面の光が白く部屋に広がり、指先だけが機械的にスクロールを続けている。気づけば深夜一時を回っていた。そんな夜が、週に何度も続いていた。
ブルーライトを浴び続けた結果、自律神経が乱れ、睡眠不足に陥る人は少なくない。
それはやる気の問題でも、メンタルの弱さでもない。ただ、現代の生活リズムが、体の自然なリズムと少しずつずれてしまっているだけだ。
そこで私が試みたのが、「リセット解除」という考え方だった。これは何かを我慢したり、禁止したりするものではない。むしろ逆で、凝り固まった習慣のロックをそっと外して、本来の自分に戻してあげるイメージに近い。最初のステップとして選んだのが、デトックスだった。
デジタルデトックスとは、スマートフォンやパソコンなどのデジタル機器から意識的に距離を置き、心身の疲労やストレスを軽減する取り組みだ。
完全にデバイスを断つ必要はない。食事中にスマホを置かない、就寝一時間前は画面を見ない、それだけでいい。ほんの小さな選択が、思いのほか大きな変化をもたらしてくれた。
最初の夜、スマホを充電しながら別の部屋に置いてみた。手持ち無沙汰になって、なんとなくリビングの棚から引っ張り出した古い文庫本を開いたら、三ページ目でうとうとしてしまった。狙っていたわけじゃないのに、体が正直すぎて少し笑ってしまった。
眠れない夜に欠かせなかったのが、体を温めることだった。
自律神経、気象(気圧・湿度・気温)、骨格という三つの要因は互いに関係しており、どれか一つだけを整えても不調は長引いてしまうことがある。
だから、入浴もただのルーティンではなく、意識的に体の芯まで温めることを心がけた。湯船に浸かると、肩のあたりがじんわりと溶けていくような感覚がある。指先まで血が巡り、額にうっすら汗が滲む。その感触が、一日の緊張をほどいてくれた。
お気に入りは「ハーブラウンジ」というブランドのバスソルトで、ラベンダーとユーカリをブレンドした香りが湯気とともに広がる。少し贅沢かなとも思ったが、これくらいは自分にご褒美として許してあげようと決めた。毎日頑張っている自分への、小さくて確かなねぎらいだ。
適切な休息は自律神経を整え、心身のリフレッシュを促す。
お風呂上がりにハーブティーを一杯飲んで、照明を少し落とした部屋でゆっくり深呼吸する。それだけのことなのに、ベッドに入ったときの体の重さが、以前とまるで違う。沈み込むような心地よさがあって、気づいたら朝だった、という夜が増えてきた。
就寝前のデジタル機器を断つだけであれば、一〜二週間で睡眠の質の改善を感じる方が多いとされている。
実際、私も二週間ほど続けたころから、朝の目覚めが変わり始めた。以前は何度もアラームを止めて、重い体を引きずるように起き上がっていたのに、今は窓から差し込む朝の光に、自然と目が開く日が増えた。
リセット解除とは、特別なことをすることではないのかもしれない。体を温める、デトックスする、自分にご褒美を与える。その三つを、ただ丁寧に、毎日繰り返すだけでいい。若々しさとは、きっとそういう小さな積み重ねの中にある。






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