
夏の夜、窓を少し開けると、どこからともなく草の青い香りが部屋に忍び込んでくる。そういう夜に限って、なぜか身体がじんわりと重くて、布団に入ってもなかなか眠れない。そんな経験、あなたにも心当たりはないだろうか。
気持ちよく眠りにつくためには、自律神経のバランスが整っていること、そして深部体温がスムーズに上下することが必要だという。
でも現代の暮らしの中では、それがなかなかうまくいかない。スマホを手放せないまま日付をまたいで、気づけば首も肩もガチガチ。そういう夜が、じわじわと積み重なっていく。
わたし自身、少し前まで「寝る前に何かしなきゃ」と思いながら、結局ソファでうとうとして気づいたら深夜2時、という生活を繰り返していた。ある夜、友人の勧めで「ゆるっと動いてみなよ」と言われたのが、ストレッチを始めたきっかけだった。最初の夜は、ヨガマットを広げた瞬間に猫が上に乗ってきて、まったくポーズが取れなかったのだけれど(それはそれで、悪くない夜だったかもしれない)。
ゆっくりとした動作で筋肉を伸ばす静的ストレッチには、心拍数や血圧を下げ、副交感神経の働きを活発にするという、通常の運動とは真逆の働きがある。
だから、寝る前にこそやる意味がある。激しく動く必要はまったくない。ただ、ゆっくりと、自分の身体の声を聞きながら伸ばしていくだけでいい。
ストレッチと一緒に取り入れたいのが、深呼吸だ。
吸うときに胸を開き、吐くときに力を抜くことで、自律神経のバランスが整いやすいとされている。
息を吸って、ゆっくり長く吐く。それだけで、肩のあたりがふっと落ちる感覚がある。深呼吸は、どこでも、何も道具がなくてもできる。それが、続けやすい理由のひとつだと思う。
さらに、ストレッチだけでなく「ゆる筋トレ」も組み合わせると、身体の芯から温まる感覚が増してくる。激しい運動ではなく、たとえば仰向けのまま脚を少しだけ持ち上げて、ゆっくり戻す。それを数回繰り返すだけで、お腹の奥がじんわりと温かくなる。身体を温めることは、眠りの質を上げるうえで思っている以上に大切なことだ。冷えた身体のまま布団に入っても、なかなか深い眠りにはたどり着けない。
わたしが最近気に入っているのは、「ノクテアロール」というアロマブランドのラベンダーオイルを1滴だけ手首に垂らして、そのまま深呼吸しながらストレッチをするルーティンだ。香りが鼻をくすぐるたびに、今日あった細かいストレスが少しずつほどけていく気がする。完全に科学的な話ではないかもしれないけれど、「気がする」というのは、意外と大事なことだとわたしは思っている。
寝つきが悪いのは、ストレス・筋肉のこわばり・自律神経の乱れなどが絡み合っていることが多く、寝る前の軽いストレッチが、自然な入眠を促す習慣として有効だとされている。
大げさな変化は、最初はわからない。でも、1週間続けると、朝の目覚めがほんの少し違う。それだけで、十分だと思う。
健康的で美しくありたいと思うなら、まず夜の自分を大切にすることから始めてみてほしい。派手なことは何もいらない。ストレッチ、深呼吸、ゆる筋トレ。それだけで、眠りが変わり、身体が変わり、朝の顔つきまで変わってくるかもしれない。今夜、布団の上で少しだけ、身体を伸ばしてみてください。






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