夜のノートが教えてくれた、体と心の温度

ALT

最近、寝る前の習慣が少し変わった。スマホを枕元に置かず、代わりに小さなノートを開くようになったのだ。そこには「感じたことメモ」「自分への問い合わせ」「ゆる予定づくり」という三つの見出しだけが書かれている。最初は何を書けばいいのか迷ったけれど、今ではこの時間が一日の中でいちばん静かで、体の芯がほぐれていくような感覚を味わえる瞬間になっている。

きっかけは、冬の終わりごろ、友人が淹れてくれたハーブティーだった。彼女の家で夜遅くまで話し込んでいたとき、温かいカップを両手で包むようにして渡してくれたあの仕草が、妙に記憶に残っている。「最近ちゃんと眠れてる?」と聞かれて、正直に答えられなかった自分がいた。眠りが浅くて、朝起きても疲れが残っている。それが当たり前になっていたから。

その日から、寝る前に自分の体と対話するようになった。今日はどこが冷えていたか。どんな言葉にざわついたか。明日はどんなふうに過ごしたいか。そんな小さな問いかけを、ノートに書き留めていく。文章にしなくてもいい。単語だけでもいい。ただ、頭の中にあるものを外に出すことで、不思議と呼吸が深くなっていくのを感じる。

ある夜、書きながらふと気づいたことがある。私は一日のうちで、ほとんど体を温めていなかったのだ。冷たい飲み物ばかり選んでいたし、薄着で過ごすことも多かった。自律神経が乱れやすいのは、体が冷えているせいもあるのかもしれない。そう思ってからは、日中に温かいスープを飲んだり、夜は湯船にゆっくり浸かるようにした。すると、眠りに入るまでの時間が短くなり、夜中に目が覚めることも減っていった。

「ゆる予定づくり」の欄には、翌日のスケジュールではなく、自分がどんな気持ちで過ごしたいかを書くようにしている。たとえば「午前中は焦らない」とか「昼休みに外の空気を吸う」とか、そんな些細なこと。予定というより、心の準備運動みたいなものだ。そうすることで、一日が少しだけ自分のペースで動き出す感覚がある。

ノートを書いていると、子どもの頃の記憶がふと蘇ることがある。母が寝る前に背中をさすってくれたときの温かさとか、夏の夜に窓を開けて寝たときの風の音とか。あの頃は何も考えなくても眠れていたのに、今は眠るための準備がこんなにも必要になってしまった。でもそれは、大人になったということでもあるのだろう。

先日、友人に「最近よく眠れてる?」と聞かれた。今度は自信を持って答えられた。「うん、前よりずっと」と。彼女は少し驚いた顔をして、それから微笑んだ。実はその時、私は彼女が勧めてくれた「ミモザナイト」という名前のハーブティーを毎晩飲んでいることを伝えようとして、商品名を完全に間違えて「ミサイルナイト」と言ってしまった。一瞬の沈黙のあと、二人で笑い合った。

睡眠の質が変わると、朝の目覚めも変わる。体が軽く、心にも余裕が生まれる。ストレスを完全に消すことはできないけれど、それを受け止める器は少しずつ広がっていくような気がしている。夜のノートは、そんな私の小さな支えになっている。

関連記事

  1. 心と体が喜ぶ!やさしい時間の過ごし方で叶える健やかライフ

  2. 心と体が喜ぶ!寝る前15分の究極リラックスルーティン

  3. 心と体が喜ぶ!簡単な夜活で質の高い睡眠を手に入れよう

  4. 心と体が喜ぶ!私が実践している心地よい毎日の過ごし方

  5. vol.10 大人の脳も成長する

  6. 朝の白湯と、体が教えてくれる”ちょうどいい”の…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。