夜の10分が、明日の自分をつくる。ストレッチ・深呼吸・ゆる筋トレで整える、自律神経と眠りの話

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梅雨が明けたばかりの夜、窓の外からは遠くでカエルの声が聞こえた。エアコンの設定温度をいつもより少し高めにして、ヨガマットを広げた。ラベンダーのアロマディフューザー——確か「ソルヴィータ」というブランドのもので、友人にもらったのに半年も使っていなかった——からほのかな香りが漂いはじめた。その瞬間、なんとなく「今夜はちゃんとやろう」という気持ちになった。

ストレッチを始めたのは、つい最近のことだ。以前は「運動は苦手」と言い訳ばかりして、寝る前はスマホをいじって気づいたら深夜1時、なんてことを繰り返していた。ある朝、鏡の前で自分の顔を見て少しだけ驚いた。疲れているというより、なんというか、くすんでいた。それが正直なきっかけだった。

まず試したのは、ゆっくりとした深呼吸。鼻から4秒吸って、口から8秒かけて吐く。たったそれだけのことなのに、最初はうまくできなかった。吐くのが早くなってしまって、「あれ、8秒ってこんなに長い?」と内心ツッコみながら何度かやり直した。笑えるほど呼吸が下手だった、あの頃の自分。でも、続けるうちに体の奥から力が抜けていく感覚がわかってきた。

深呼吸のあとは、ストレッチへ。首をゆっくり横に倒し、次は肩甲骨を寄せるように腕を後ろへ引く。床に座って足の裏を合わせ、股関節をほぐす。ひんやりとしたマットの感触が足の裏に伝わって、それだけで少し頭が静かになる気がした。
ゆっくりとした動作で筋肉を伸ばす静的ストレッチには、副交感神経を優位にする働きがある
と知ってから、「急がなくていい」という言葉が体に染み込むようになった。

そしてもうひとつ、最近取り入れたのがゆる筋トレだ。腹筋や腕立てのような本格的なものではなく、仰向けで足を少し上げてキープするとか、四つ這いで片手片足を伸ばすとか、そういうやさしい動き。汗をかくほどではないけれど、じんわりと体の芯が温まっていくのがわかる。
自律神経をリラックスさせると共に、少し深部体温を上げることで、布団に入ったとき一気に体温が下がりやすくなる
。その仕組みを知ってから、ゆる筋トレが「眠るための準備運動」に思えてきた。

ストレスや疲労が蓄積すると、交感神経が優位な状態が続き、心身が十分に休まらないことがある
。現代の生活はどうしても交感神経を刺激しつづける。スマホの通知、締め切り、気になるニュース。だからこそ、意識的に体を「休むモード」へ切り替える時間が必要なのだと思う。ストレッチと深呼吸は、その切り替えスイッチになってくれる。

毎晩おおよそ同じ時刻に繰り返すことで、体は「そろそろ休む時間」と学習していく
。習慣というのは、意志の力ではなく、繰り返しの積み重ねでできていくものらしい。今夜も、ラベンダーの香りの中でマットを広げる。それだけで、体がすでに少し、ほどけはじめている。

若々しくいたいとか、きれいでいたいという気持ちは、特別なことではないと思う。ただ、毎晩10分、自分の体と向き合う時間をつくること。深く息を吐いて、筋肉をゆっくりほぐして、温かい体で布団に入ること。その小さな積み重ねが、明日の朝の顔をつくっている。

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