夜の10分が、明日の自分を変える。今夜から始める「睡眠ルーティン」の話

ALT

五月の夜は、まだ少し肌寒い。窓を細く開けると、どこかの庭木が揺れる音と、遠くを走る車の気配だけが静かに流れ込んでくる。こういう夜に、ぼんやりとスマートフォンを眺めながら「なんとなく眠れない」と感じたことは、きっと一度や二度ではないはずだ。

自律神経には交感神経と副交感神経があり、夕方から夜にかけて副交感神経が徐々に優位になることで、人は自然と眠りへと向かっていく。ところがストレスによってこのリズムが乱されると、夜になっても脳が興奮状態のまま活動モードを抜け出せなくなってしまう。
眠れない夜というのは、意志の問題ではなく、身体のリズムの問題なのだ。

だからこそ、「睡眠ルーティン」という考え方が今、多くの人に注目されている。
寝る前の習慣や行動を整えるルーティンは、心身をリラックスしやすい状態へと導き、快眠を促してくれる。
特別なことは何もいらない。たった10分の積み重ねが、翌朝の顔色を、肌の張りを、そして気持ちの軽さをじわりと変えていく。

わたしが最初にルーティンを意識したのは、三十代の半ばを過ぎたころだった。「寝ているのに疲れが取れない」という感覚が続いて、ある朝、鏡の前でふと立ち止まった。顔色が悪いというより、なんというか——くすんでいた。あの瞬間の微妙な焦りは、今でも忘れられない。

まず取り入れたのが、就寝一時間前の「体を温める」習慣だ。
寝室環境を快適な温度に保ち、特に足先を温めることが、自律神経をリラックスさせて質の高い睡眠へとつながる。
足元が冷えやすい季節には、就寝前に靴下を履くことで足元が温まり、快適に眠りやすくなる。
湯たんぽをふとんの足元に忍ばせるだけでも、あの「なかなか寝付けない」感覚がずいぶん和らいだ。

次に香り。
ラベンダーやカモミールなどのハーブの香りは、不安やイライラ、緊張を鎮め、質の良い睡眠を促してくれる。
わたしが愛用しているのは、「ルナフォレスト」というアロマブランドのカモミールミルクという香り。名前だけ聞いてもほっとするような、甘くやわらかい匂いが、ベッドサイドにそっと広がる。

寝る前にはスマートフォンのブルーライトを避け、部屋の照明を一時間前から落としていくことで、眠りに関わるホルモンの分泌リズムを整えることができる。
これが意外と難しい。「あと一投稿だけ」と思ってスクロールし続けてしまうあの感じ、わかる人にはわかるはずだ(スマホを枕元から遠ざけたら、代わりに充電器のランプがやたら気になり始めたのは、わたしだけだろうか)。

そして快眠グッズの力も、上手に借りたい。
疲れた目元をじんわり温めることで副交感神経が活性化し、脳をリラックス状態へと導いてくれる。
最近のホットアイマスクは温度調節機能付きのものも多く、使い勝手がぐんと上がった。目を閉じた瞬間、じわっと広がる温かさに、今日一日の緊張がほどけていくのを感じる。

睡眠中、脳は外部情報を遮断した状態で、起きている間に入ってきた情報を整理・分類し、必要なものを記憶として保存し、不要なものや嫌なものを消去している。
これが、睡眠が「脳のリセット」と呼ばれるゆえんだ。十分に眠ることで、嫌な記憶が薄れ、明日へのエネルギーが静かに充填されていく。

ゆっくりとした深い呼吸も、自律神経を整えるのに有効だ。3〜4秒かけて鼻からゆっくり息を吸い、6〜8秒かけて口からできるだけ長く、ゆっくりと吐き出す。
布団の中で、この呼吸をただ繰り返す。それだけでいい。

夜22時から2時は成長ホルモンの分泌が活発になる時間帯とされており、この時間にしっかり眠ることで、傷ついた細胞の修復や肌のターンオーバーが促進される。
若々しくいたいと思うなら、夜の眠りこそが最も手軽で、最も確かなケアになる。

睡眠ルーティンは、完璧に守らなくていい。できた日を重ねていくうちに、身体がそのリズムを覚えていく。五月の夜、少し肌寒い空気の中で、今夜だけはスマホを遠ざけて、温かい足元でゆっくり目を閉じてみてほしい。明日の朝、鏡の前でほんの少し、表情が変わっているかもしれない。

関連記事

  1. 心と体が喜ぶ!温かな暮らしで叶える美しい毎日の過ごし方

  2. 夜中に目が覚めるのは、たぶん昼間のあれのせいだと思う

  3. 夜のノートと、体が教えてくれること

  4. 夜更けのノートと、身体が教えてくれること

  5. 毎日を輝かせる3つの習慣〜心と体が喜ぶ温活&睡眠ケアで若々し…

  6. 心と体が喜ぶ!自分時間の作り方で叶える健やかライフ

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。