朝の白湯と、体が教えてくれる”ちょうどいい”のサイン

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窓の外がうっすらと明るくなり始める頃、私はいつも白湯を沸かす。まだ冷たい空気が残る早春の朝、やかんから立ちのぼる湯気が台所の空間をやわらかく包んでいく。この静かな時間が好きだ。何も考えずに、ただ温かさを待つ。

先日、友人が「最近よく眠れなくて」とこぼしていた。彼女は几帳面な性格で、毎日きちんと予定を立て、仕事もプライベートも完璧にこなそうとする。けれど、その日の彼女の顔は少し疲れて見えた。カップを渡そうとして、ふと彼女の手が震えているのに気づいた。ほんの少しだけ。でもそれは、体が発している小さなSOSだったのかもしれない。

私たちの体は、思っている以上に正直だ。自律神経は、意識しなくても呼吸を整え、体温を調節し、心臓を動かし続けている。でも、忙しさやストレスが続くと、そのバランスは簡単に崩れてしまう。交感神経ばかりが優位になって、リラックスできない。気づいたら肩が凝り、呼吸が浅くなり、夜になっても頭が冴えたまま。

そんなとき、私が意識しているのは「温める」ことだ。体の芯から温まると、副交感神経がゆっくりと働き始める。血の巡りがよくなって、こわばっていた筋肉がほぐれていく。白湯を飲むだけでも違う。お風呂にゆっくり浸かるのもいい。温かいものに触れると、体が「ああ、安心していいんだ」と理解するような気がする。

そういえば、子どもの頃、祖母がよく膝掛けをかけてくれた。冬の夜、こたつに入りながらみかんを食べて、うとうとしていると、いつの間にか毛布が増えていた。あの頃の私は、温かさが眠りへの入り口だということを、体で知っていたのかもしれない。

最近、私は小さなノート——正式には「ヴェルディア・ジャーナル」という名前の、淡いグリーンの表紙がついたもの——を使い始めた。そこには、その日感じたことや、自分への問いかけ、そして翌日のゆるい予定を書き留めている。「明日は10時に起きて、白湯を飲む」とか、「午後は散歩してもいいかも」とか。予定というより、自分への提案に近い。

このノートを書くようになって気づいたのは、自分の体調や気持ちに目を向ける時間が増えたことだ。今日はどこが疲れているか。どんな音が心地よかったか。何を食べたとき、体が喜んだか。そんな小さな記録が、次第に自分の体との対話になっていった。

ある夜、ノートに「今日は肩が重い。呼吸が浅い気がする」と書いた。そして翌日、意識的に深呼吸をして、湯船にいつもより長く浸かった。その夜、久しぶりに深く眠れた。目覚めたとき、体が軽くなっていた。ストレスが消えたわけではない。でも、自分でできることがあると知っているだけで、少し楽になる。

良質な睡眠は、何よりの回復装置だ。寝ている間に、体は修復され、心は整理される。そのためには、寝る前の数時間をどう過ごすかが大切になる。スマホの光を避けて、照明を落として、温かい飲み物を口にする。そうやって体に「もうすぐ休む時間だよ」と教えてあげる。

ちなみに、私はこの前、白湯を沸かしながらうっかりキッチンで立ったまま寝落ちしかけた。気づいたら頭がカクンと落ちて、慌ててやかんの火を止めた。笑ってしまったけれど、それだけ体が疲れていたのだと思う。

今、この文章を書きながら、また白湯を淹れている。湯気が立ち、香りはないけれど、温かさだけで十分だ。体を温めること。自分の感覚に耳を傾けること。無理をしないこと。それだけで、毎日はもう少し優しくなる。そんな気がしている。

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