お風呂とノーメイクデーが教えてくれた、じぶんを温めるということ

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ある秋の夕方、窓の外がすっかり暗くなるのが早くなったな、と気づいた日のこと。仕事から帰ってきて、玄関の鍵を開けながら「今日こそゆっくりお風呂に入ろう」と決めた。ただそれだけのことなのに、なぜかその夜は特別な夜になった。

入浴時間を意識し始めたのは、ここ半年ほどのこと。それまでは正直、シャワーで済ませることが多かった。忙しいとか疲れているとか、理由はいくらでも作れる。でも、ある朝に鏡を見て「なんだか顔がくすんでいるな」と感じた瞬間から、少しずつ変わり始めた。

その日の夜、湯船に浸かりながら気づいたのは、肩がじわじわとほぐれていく感覚だった。38度くらいのぬるめのお湯に、ゆず系のバスソルト「ユズノワ」をひとつかみ。香りが浴室全体にふわっと広がって、なんだか山の温泉にでもいるような気分になった。実際には築15年のマンションの浴室なのだけれど。

20分ほど湯船に浸かると、じんわりと汗をかいていた。深部体温が上がると、その後に体温が下がっていく過程で眠気が訪れやすくなるという話を聞いたことがある。実際、その夜はベッドに入ってから5分も経たないうちに眠れた。久しぶりのことだった。

翌朝、目が覚めたとき、空気が冷たかった。でも体の芯はまだ温かくて、布団の中でしばらくぬくもりアイテムのように丸まっていた。そういえば子どもの頃、母が湯たんぽを毎晩布団に入れてくれていた。陶器製の少し重いやつで、タオルに包まれた表面がほんのり熱くて、足元に当てると全身がほっとした。あの感覚に近いものを、大人になってお風呂で取り戻せるとは思っていなかった。

その日は休日だったので、思い切ってノーメイクデーにした。最初は少し落ち着かなかった。コンビニに行くのにも鏡をちらっと見て「まあいいか」と言い聞かせる、あの小さな葛藤。でも、外に出てみると意外と誰も気にしていないし、肌が呼吸しているような軽さが心地よかった。

自律神経というのは、意外と日常の小さなことに揺さぶられている。睡眠が浅い、肌の調子が悪い、なんとなく気持ちが沈む——そういった変化は、案外つながっていることが多い。温めるということは、単に体を温かくするだけじゃなく、神経をそっと落ち着かせることでもあるのかもしれない。

ノーメイクで過ごした一日の終わりに、またお風呂に入った。今度は少し長めに、何も考えずに湯気を眺めながら。ストレスって、こうして少しずつ溶けていくものなのかもしれない、と思った。完全には消えないけれど、軽くなる。それで十分だ。

良質な睡眠も、自律神経の安定も、難しいことじゃなかった。お風呂に20分、メイクをやめた一日、ぬくもりのある夜——そんな小さな選択が、翌朝の自分の顔を変えていく。

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