
四月の夜は、まだすこし肌寒い。窓の外から春の夜風が入り込んで、カーテンがかすかに揺れる。そんな静かな時間に、ふと気づいた。「あ、また今日も、ベッドに入ってからスマホを見てしまった」と。
大正製薬が2026年3月に実施した調査では、睡眠の質を下げる習慣の第1位が「スマートフォンを見ながら寝る」だったという。
心当たりがある方は、きっと少なくないはずだ。かくいう私も、一年ほど前まではそのひとりだった。夜中の1時を過ぎても画面を眺め、気づけば目がさえて、朝は重い頭を引きずって起き上がる——そんな毎日を、なんとなく続けていた。
転機は、友人に誘われて立ち寄ったインテリアセレクトショップ「ルナ・ネスト」でのこと。ラベンダーとヒノキを合わせたような、落ち着いた香りが漂う店内で、アロマディフューザーとホットアイマスクがさりげなく並んでいた。「これ、寝る前に使うと全然違うよ」と友人がぽつりと言いながら、商品を手に取ってうとうとするような目をしていた。——眠そうなのはどっちだ、と心の中でツッコんだのは内緒だ。
そこから、自分なりの**睡眠ルーティン**を組み立て始めた。
寝る1〜2時間前から部屋の照明を落とし、寝るときには部屋を真っ暗にすること。
これだけでも、体の変化は驚くほど早かった。暖色の間接照明に切り替えると、なんとなくざわついていた気持ちが、すうっと落ち着いていく感覚がある。光の色が変わるだけで、自律神経が整い始めるのだと、後から知った。
次に取り入れたのが、40度ほどのお湯をたっぷり張ったバスタブに15分、ゆっくり浸かること。湯気が立ち上る浴室の、あのもわっとした温かさ。肩まで沈んだ瞬間に「はあ」と声が出るあの感じ。
就寝前の入浴は、睡眠に関する習慣として日本でも広く定着しており、身体を芯から温めることが眠りの質に深く関わっている。
体の表面だけでなく、内側からじわじわと温まることで、末梢の血管が開き、体温が自然に下がるタイミングで眠気が訪れる。これが、脳のリセットの合図になる。
アロマディフューザーやピロースプレーは、ラベンダーやカモミールといった香りで副交感神経を優位にし、高ぶった神経を落ち着かせてくれる快眠グッズとして知られている。
私はいま、枕元に小さなディフューザーを置いて、ラベンダーの精油を数滴たらしている。香りが部屋にふわっと広がる瞬間、今日一日の緊張がほどけていく気がする。
不規則な生活習慣が続くと、体内時計が狂い、自律神経が乱れていく。副交感神経と交感神経の切り替わるタイミングも変わってしまい、毎日が時差ぼけのような状態になってしまう。
だからこそ、眠る前の「儀式」を毎日同じ順番で繰り返すことに意味がある。照明を落とす、湯に浸かる、香りをまとう。この三つを続けていると、体が「もう眠る時間だ」と覚えていくのだ。
しっかりと眠ることは、1日の疲れをリセットするだけでなく、ストレス解消にもつながる。
良質な睡眠の質は、翌朝の肌のツヤや気持ちの軽さにも、じわじわと現れてくる。若々しくいたいなら、まず夜の過ごし方を見直すことが近道かもしれない。
春の夜風がまたカーテンを揺らした。今夜は少し早めに、照明を落としてみよう。






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