
秋の気配が少しずつ漂い始めた九月の朝、窓から差し込む光がまだ夏の名残を帯びながらも、どこかひんやりとした空気に混じって届いてくる。そんな一瞬に気がついたのは、ベッドの中でぼんやりしていたときのことだった。
「あ、今日は体がちゃんと温かい」と思った。それだけのことなのに、なぜか胸の奥がほっとした。
最近、「**感じたことメモ**」という習慣を始めた。難しいことは何もない。手帳を開いて、その日感じたことをぽつりぽつりと書くだけ。
思考や感情をノートに書き出すことで心が整理され、安心して眠りにつきやすくなる——そんなセルフケア習慣として、ジャーナリングが今注目されている。
わたしのメモはもっとゆるくて、「今日のお昼のスープがおいしかった」とか、「電車の中で隣のひとがうとうとしていてかわいかった」とか、そういう些細なことばかり。でも、それが続くうちに、自分の体の変化に気づくようになってきた。
使っているのは、文具好きの友人に教えてもらった「**ノルディア**」というブランドの小さなノート。表紙がくすんだ青緑で、ページを開くたびにほんのりインクの香りがする。それが好きで、書くことそのものが楽しみになった。
日記を書くことは、自律神経の安定やストレスの解消につながると言われている。
最初はそんなことも知らずに始めたのだが、確かに夜の寝つきが変わってきた気がする。以前は布団に入ってからあれこれ考えて、気づいたら深夜になっていることもあった。今は、メモを書き終えると頭の中がすっきりして、自然と目が重くなる。
就寝前の思考が脳や神経に強い影響を及ぼすことが指摘されており、「寝る前に今日のよかったことを書く」ことで、ポジティブな感情に意識を向け、ストレスから距離を取る方法が紹介されている。
良質な睡眠のためには、体を温めることと同じくらい、心の「余熱を冷ます」ことが大切なのだと思う。
メモを書きながら、もうひとつ意識するようにしたのが「**自分への問い合わせ**」だ。「今日、体はどんな感じだった?」「疲れているとしたら、どこが?」と、自分自身に静かに尋ねてみる。子どもの頃、母がよく「どこか痛い?」と聞いてくれたように、自分で自分に問いかける。あの頃は、聞かれると急に痛みを感じたりしたものだ(今思えば、ちゃんと気づいていなかっただけだったのかもしれない)。
ログをつけ始めて、だんだん自分の体調を崩すタイミングなどがわかるようになってきて、「この時期はあまり予定を入れないようにしよう」と考えられるようになった
——という声がある。まさに、それだ。自分の体のリズムを知ることで、無理をしなくなる。
そこから生まれたのが「**ゆる予定づくり**」という考え方だ。びっしりとスケジュールを埋めるのではなく、あえて余白を残す。水曜日の夜は「早めにお風呂に入る日」、週末の朝は「ゆっくり温かいものを飲む時間」——そんなゆるい枠を手帳に書き込むだけで、生活のリズムが整ってくる。体を温めることを、予定として組み込む。それだけで、自律神経の調整がずいぶんやさしくなった気がする。
デジタルデトックスの具体例として、睡眠でスマホから離れること、散歩、銭湯・サウナに行くことなどが挙げられている。
感じたことメモも、そのひとつだと思う。画面を閉じて、ペンを持って、今日という一日を自分の言葉で受け取る。
秋の夜、湯上がりの手のひらがじんわり温かいまま、ノートを開く。今日もまた、ひとつだけ書く。「体が、ちゃんと温かかった」と。






この記事へのコメントはありません。