
九月の朝は、まだ少しだけ蒸し暑さが残っている。窓を開けると、カーテンの端がふわりと揺れて、どこかからキンモクセイに似た甘い香りが漂ってきた——まだ早すぎる気もするけれど、確かにそこにあった。そんな朝に、私はノートを開く。
「感じたことメモ」を始めたのは、ほんの気まぐれだった。SNSに疲れて、誰かに見せるためでもなく、ただ自分だけのために書く言葉が欲しくなったのだ。「今日の朝日、オレンジ色だった」「肩がこっている、なんか怠い」——そんな断片を書き留めているうちに、気づいたことがある。自分の体は、思っているよりずっと正直に、毎日のサインを送り続けていたのだと。
自律神経は交感神経と副交感神経によって構成され、日中は活動モード、夜間はリラックスモードへと切り替わる。しかし、ストレスや不規則な生活リズムによってそのバランスが乱れると、睡眠の質が低下しやすくなる。
そのことを知ってから、私の「感じたことメモ」は少しだけ変わった。体の声を、もっと丁寧に拾うようになった。
たとえば、先週の水曜日。友人と近所のカフェ「ルミエール・ブラン」でハーブティーを飲んでいたとき、彼女がふいにカップを両手で包んで「あったかい」とつぶやいた。その仕草が、なんだかとても愛おしかった。そして、ああ私も最近、体を温めることを忘れていたな、と思った。冷房の効いた室内で長時間過ごしていたせいか、指先がいつもひんやりしていた。
朝起きてすぐに太陽の光を浴びることは、自律神経を整えるうえで大きな意味がある。日光を浴びることで体内時計がリセットされ、気分を前向きにするホルモン・セロトニンの分泌が活発になる。
それを知ってから、朝のルーティンに「ベランダで5分、日光を浴びる」を加えた。最初の日、うっかりコーヒーカップを持ったまま外に出て、サンダルを逆に履いていたことに気づいたのは5分後のことだった(誰も見ていなかったから、よかった)。
「感じたことメモ」は、自分への問い合わせでもある。今日の私は、何を感じているか。疲れているか、ワクワクしているか、何かを後回しにしていないか。問いかけることで、自分の状態が少しずつ見えてくる。そして、その答えをもとに「ゆる予定づくり」をするようになった。無理なスケジュールではなく、体と心のリズムに沿った、やさしいスケジュール。
不規則な生活習慣や過度の疲労、ストレスがかかり続けると、自律神経が乱れて睡眠の質が低下しやすくなる。
だから夜は、できるだけ同じ時間にベッドに入ることを意識している。
就寝の1時間前にはスマホやPCの使用をやめ、読書やストレッチなどリラックスできる活動に充てることで、副交感神経を優位に導くことができる。
実際にやってみると、眠りに落ちるまでの時間が短くなったし、朝の目覚めが少しだけ軽くなった気がする。
体を温めること、ゆっくり眠ること、自分の感覚を言葉にすること。どれも、特別なことではない。でも、意識しないとするりと手からこぼれていく。「感じたことメモ」は、そのこぼれを拾うための小さなざる、みたいなものだと思っている。
美しくいたい、若々しくいたい——そう思うなら、まず自分の内側に耳を傾けることから始めてみてほしい。今夜、眠る前に一行だけ。今日の自分に、問い合わせてみてほしい。






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