「感じたことメモ」が、眠れる身体をつくっていた。

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夏の夜、窓を少し開けると生ぬるい風が入ってくる。エアコンの設定温度を下げすぎた部屋で、なんとなく眠れない夜が続いていた。疲れているはずなのに、目だけが冴えている。あの感覚、覚えている人は少なくないと思う。

そのころ、ふと始めたのが「感じたことメモ」だった。

きっかけは、友人が手帳を広げながらコーヒーカップをそっと差し出してくれたあの瞬間だった。「なんか書いてみたら?」とだけ言って、彼女はまたペンを走らせた。架空の話ではなく、本当にそれだけ。言葉は少なかったけれど、妙に胸に刺さった。

メモの内容は、日記でも反省文でもない。「今日、梅雨明けの空がやけに白かった」「シャワーのお湯が思ったより熱くて、でも気持ちよかった」——そんな、誰かに話すほどでもない感覚の断片を、寝る前にノートへ書き留めるだけ。使っているのは、文具ブランド「アルトワ」の細軸ボールペン。インクのにじみ方がちょうどよくて、書くたびに少しだけ気持ちが落ち着く気がした(最初の1週間は、キャップをなくして毎晩探していたのはここだけの話)。

手書きで書くという行為そのものが、気持ちの高ぶりを抑えて副交感神経を優位にしてくれる
という。つまり、書くこと自体が身体を「夜モード」へと切り替えるスイッチになっているのだ。

「感じたことメモ」を続けるうちに、自分への問い合わせが自然と増えていった。「今日、なんであんなにイライラしたんだろう」「お腹が冷えていたせいで、午後ずっとぼんやりしていたかも」——そんな小さな問いかけが、自分の身体のサインを読む練習になっていた。
自律神経は内臓・血管・体温など体内を整える神経で、意思とは無関係に働いている
。だからこそ、意識的に「気づく」ことが、整えるための第一歩になる。

夜、リラックスしているときや眠っているときに働く副交感神経は、心拍数を穏やかにし、血管を広げて血圧を下げてくれる
。その副交感神経をうまく引き出すには、身体を温めることがひとつの鍵になる。冷房で冷えた足先、ひんやりとしたままのお腹——そういった「冷え」のサインを、感じたことメモは教えてくれる。書きながら「あ、今日は湯船に浸かればよかった」と気づく。その気づきが、翌日の行動を少しずつ変えていく。

そして、もうひとつ取り入れたのが「ゆる予定づくり」だ。翌日の朝にやることを、3つだけ書く。それ以上は書かない。「7時に白湯を飲む」「夜は22時にスマホを置く」——そのくらいのゆるさが、かえって続く。
睡眠でスマホから離れることや、散歩、銭湯・サウナなどが自律神経を整えるうえで良いと感じる行動として注目されている
。完璧な計画より、小さな「やめること」のほうが、眠りの質を守ってくれたりする。

良質な睡眠は、美しさや若々しさの土台だと思う。肌の再生も、ホルモンバランスも、夜のあいだに静かに動いている。眠れない夜が続くと、鏡の前の自分が少しずつくすんで見えてくる——あれは気のせいじゃなかった。

感じたことをメモする。自分への問い合わせをする。ゆる予定をつくる。たったそれだけのことが、身体を温め、神経を整え、眠りを深くしていく。難しいことは何もない。今夜、ペンを一本、枕元に置いてみるだけでいい。

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