夜のストレッチ習慣が、眠りも自律神経も整えてくれる話

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七月の夜というのは、妙に蒸し暑くて、窓を開けても生ぬるい風しか入ってこない。それでも、ベッドに入る前の三十分だけは、わたしにとって少し特別な時間になっている。

きっかけは些細なことだった。去年の秋ごろ、眠れない夜がしばらく続いて、スマートフォンをぼんやり眺めていたら「寝る前のストレッチ」という記事が目に飛び込んできた。「またこういうやつか」と思いながらも、なんとなく試してみた。その翌朝、久しぶりに目覚めたとき、なんだか体がやわらかく感じた。気のせいかもしれない。でも、続けてみた。

自律神経には、活動モードの「交感神経」と休息モードの「副交感神経」があり、ストレスや疲労が蓄積すると交感神経が優位な状態が続き、心身が十分に休まらなくなることがある。
現代の生活はどうしても、交感神経ばかりを酷使しがちだ。仕事のメール、SNS、夜遅くまで光を浴びるスクリーン。気づけば夜なのに体が「まだ昼間」だと思い込んでいる。

そこで試してほしいのが、ストレッチだ。

まず、照明を少し落とした部屋で、ゆっくりと深呼吸をひとつ。鼻から吸って、口からそっと吐き出す。このとき、お腹が風船みたいにふくらんでいくのを感じながら。
息を吐くときに副交感神経が優位になり、筋肉が緩みやすくなる。ゆっくりとした深い呼吸は、自律神経のバランスを整え、心身を落ち着かせることが期待できる。
深呼吸ひとつで、なんとなく肩の力が抜けていくのがわかる。

次に、ゆっくりとしたストレッチへ。背中を丸めたり反らしたり、首をゆっくり横に傾けたり。むずかしいポーズは要らない。
自律神経をリラックスさせると共に、少し深部体温を上げることで、布団に入ったとき一気に体温が下がりやすくなり、スムーズな入眠につながる。
体を温めることが、眠りの質に深く関係しているというのは、知ってしまうと手を抜けなくなる。

ここに「ゆる筋トレ」を加えるのも、最近のわたしのお気に入りだ。激しいトレーニングではなく、寝転んだままできる腹筋や、壁に手をついてのかかと上げ程度のもの。
日中に体を動かして適度な疲れを感じると、寝つきが良くなり夜中に目を覚ます頻度が少なくなるといわれる。
ゆる筋トレで体に「いい疲れ」を蓄積させておくと、ストレッチの効果が一段と引き立つ気がする。

ちなみに、わたしがこのルーティンを始めるとき、決まって「カモミラ・ナイトブレンド」というハーブティーを一杯だけ淹れる。架空のブランドではなく、近所のセレクトショップで見つけた小さな缶に入ったやつで、ほのかに甘い香りが部屋に漂う。あの香りがすると、体が「もう休んでいいよ」と言われているような気になる。——ある夜、うっかり熱湯を注いだカップをそのまま持ち上げようとして、あわてて手を引っ込めたことがあった。急いで休もうとする体が、少しだけ先走りすぎた瞬間だった。

寝る前の静かなルーティンを重ねるほど、体は「そろそろ休む時間」と学習していく。
毎晩同じ流れで体を動かすことが、やがて眠りへの合図になる。良質な睡眠は、翌朝の顔色にも、肌のハリにも、じわじわと表れてくる。

体を温め、深呼吸で整え、ストレッチで解きほぐす。それだけのことが、自律神経のバランスを支え、ストレスを静め、眠りの深さを変えていく。若々しく、健やかでいたいなら、夜の三十分を、自分の体への投資に使ってみてほしい。七月の夜、あの蒸し暑さも、少しだけ味方になってくれるかもしれない。

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