夜の5分が、明日の自分を変える。ストレッチ・深呼吸・ゆる筋トレで整える、自律神経と眠りの話

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夏の夜、窓の外からかすかに虫の声が聞こえてくる時間帯がある。時刻は22時をまわったころ。エアコンの風がふわりと足元を撫でて、今日一日の疲れがじわじわと体の奥から浮き上がってくるような、あの感覚。そんなとき、ヨガマットを広げるのが最近の習慣になった。

ゆっくりとした動作で関節や筋肉を伸ばすストレッチには、自律神経のなかでも体や気持ちをリラックスさせる副交感神経を優位にする働きがある。
難しいことは何もない。ただ、体を伸ばして、息を吐く。それだけのことが、一日の終わりにこんなにも必要だったのかと、最初に試みた夜に少し驚いた。

子どもの頃、母がよく「寝る前に深呼吸しなさい」と言っていた。当時はまったく意味がわからなくて、布団のなかで「すぅー、はぁー」と三回だけやって終わりにしていた記憶がある。三回で十分だと本気で思っていたのだから、子どもというのは正直だ。

今は少し違う。ストレッチをしながら行う深呼吸は、体の奥まで空気が届く感じがする。鼻からゆっくり吸って、口からそっと吐く。肋骨のあたりがじんわり広がって、肩の力がすとんと落ちる瞬間がある。
自律神経をリラックスさせると共に、少し深部体温を上げることで、布団に入ったとき一気に体温が下がりやすくなり、眠気が訪れやすくなる。
これを知ってから、ストレッチは「運動」というより「準備」という感覚で続けている。

ルーティンはこうだ。まず、床に座って股関節をゆっくり開く。次に、仰向けになって膝を抱え込み、背中全体を丸める。
両足の裏同士をつけて膝を床に近づけ、息を吸いながら背筋を伸ばし、吐く息でゆっくりと上体を前に倒す。その体勢のまま深呼吸を5回ほど繰り返す。
たったこれだけで、背骨の一本一本がほぐれていく感覚がある。

そこにゆる筋トレを少し加えるのが、最近のお気に入りだ。「ゆる」というのがポイントで、追い込むのではなく、筋肉に血を巡らせるイメージで動かす。仰向けのまま足をゆっくり上げ下げするだけ。これがじんわりと下腹部に効いて、体の芯が温まってくる。冷えが気になる季節はもちろん、夏でも冷房で体が冷えがちなこの時期、体を内側から温めることは思った以上に大切だと実感している。

毎晩一定の時間にストレッチを取り入れると、身体が「そろそろ眠るモードだ」と判断しやすくなる。
習慣というのはおもしろいもので、ヨガマットを広げるだけで体がすっと落ち着く感じがするようになってきた。まるで「ノアズウィンドウ」というアロマブランドのラベンダーオイルをディフューザーに垂らす動作と同じように、それ自体がスイッチになっている。

ストレッチには、幸せホルモンと呼ばれる脳内物質セロトニンの分泌を促す働きがある。寝る前にストレッチを行うことで、一日の疲れを癒すことができる。
ストレス解消という言葉は少し大げさに聞こえるかもしれないけれど、体の緊張がほぐれると、心のこわばりも一緒に溶けていくのは確かだ。

良質な睡眠は、翌朝の顔色に出る。それは美容の話でもあるし、若々しさの話でもある。夜の5分を惜しまないこと。それが、明日の自分への一番やさしい投資かもしれない。さあ、今夜もヨガマットを広げよう。虫の声を聞きながら、ゆっくりと体を解き放つ時間が、もうそこまで来ている。

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